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陰流の開祖であり、忍びの術の開祖でもある愛洲移香斎の物語です。
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14.笠形山






 姫路から市川の流れをさかのぼって行くと、左手に置塩城の本丸が置塩山頂に見えて来る。さらに、さかのぼって行くと、左手に七種山(ナグサヤマ)、その後ろに隠れるように雪彦山(セッピコサン)があり、右手には播磨富士と呼ばれる笠形山(カサガタヤマ)が見えて来る。どれも皆、修験の山だった。

 市川から別れて岡部川をさかのぼって行くと、岩戸という小さな村に出る。ここに一の鳥居があり、ここから笠形山山頂にある笠形寺(リュウケイジ)への参道が始まった。

 岩戸村から岡部川に沿って、参道を一里程登って行くと大きな鳥居があり、鳥居をくぐると賑やかな門前町があった。薬師堂を中心に、僧院、僧坊が建ち並び、茶屋や土産物屋、遊女屋なども並んでいる。先達山伏に連れられた参詣者たちは皆、白い浄衣(ジョウエ)を着て、金剛杖を突き、薬師堂を拝んでから笠形寺への山道へと向かって行った。

 笠形寺は天竺(テンジク、インド)から来たという法道仙人の開基と伝えられ、喜見山(キケンザン)と号し、薬師如来を本尊とする天台宗の山岳霊場だった。近江の飯道山ともつながりがあり、飯道山の先達山伏たちも、ここを中心に但馬の国や丹波の国まで活動していた。

 その門前町に、金比羅坊、風光坊、探真坊の三人が着いたのは、太郎たちと大谿寺で別れた次の日の昼過ぎだった。太郎たちが牛の歩みに合わせて、のんびりと姫路に向かっている頃だった。

 金比羅坊たち一行は大谿寺の大先達、遍照坊から聞いた嘉吉の変の当時の状況を頭に入れ、赤松性具入道(満祐)が隠したと思われる軍資金を捜しに、播磨富士、笠形山に向かったのだった。

 『富士』『岩戸』そして『合掌』、この三つの言葉の意味する物を探り出し、阿修羅坊より先に軍資金を手に入れなければならなかった。

 三人は門前町に入る前、岩戸村で『合掌』に関する手掛かりはないかと捜してみた。岩戸村の奥の方には岩戸神社という古い神社があり、その回りには岩戸神社の神宮寺や笠形寺の末院などが並び、参道はちょっとした門前町として栄えていた。

 ここに何か、『合掌』に関する物はないかと捜したり、聞いてもみたが、これという決め手になるような物は見つからなかった。合掌というからには仏様に関係するのだろうと、すべての寺を巡り、石仏なども訪ねてみたが、これだ、という物は何もなかった。とりあえず、山頂の笠形寺に行ってから、改めて、この辺りの事を詳しく調べようと、三人は山に登った。

 参道は山の中に入るにつれて急な登りになって行った。勿論、三人にとっては何でもない山道だったが、三人は一団の参詣者たちの後をのんびりと歩いていた。ここまで来れば急ぐ必要もなかった。今日は笠形寺の中を捜し、明日、山の中を捜せば、何か見つかるだろうと、三人共、軽い気持ちでいた。

「夕立でも来そうな空模様じゃのう」と金比羅坊が空を見上げながら言った。

「お師匠はもう、置塩城下に着いたかなあ」と風光坊は遠くの山を眺めながら歩いていた。

「まだ、着かないだろう。あのとぼけた牛と一緒じゃな」と探真坊は錫杖の代わりに、太郎と同じ五尺の棒を突いていた。

「そうだな。しかし、あの牛に乗った男、変わった男だったな」

「一体、何者かな」

「わからんな。お師匠も変わっていると言えば変わっているからな。変わり者同士で気が合うんじゃないのか」

「そうだな。そう言う、お前も変わっているしな」と探真坊は風光坊に言った。

「何を言うか、一番、変わっているのはお前だ」と風光坊も探真坊に言う。

「何を言っとるんじゃ、二人して」と金比羅坊が笑った。「わしからみれば、お前ら、みんな、変わっとるわい。まあ、変わってるから面白いんじゃがな」

「金比羅坊殿、お師匠とはもう長い付き合いなんですか」と風光坊が聞いた。

「そうさのう、わしが太郎坊と初めて会ったのは、もう、五年も前になるかのう」

「その時のお師匠はどうでした」

「まあ、一言で言えば、生意気な奴じゃったのう。ただ、しぶとい奴じゃった。今も、剣術の稽古の時、例の鉄の棒を振らせるが、あの鉄棒を千回も振ったのは、未だに太郎坊だけじゃ」

「えっ、あの鉄棒を千回も‥‥‥」と風光坊は唸った。

「ああ、わしはおぬしの親父殿に頼まれたんじゃ。どんな事をしてもいいから太郎坊を鍛えてくれとな。途中で弱音を吐くようだったら、わしの見る目がなかったと諦めるが、一年間、最後まで残っていたら、おぬしもかなわん位、強くなるじゃろう、と風眼坊殿は言っていた。実際、太郎坊はわしのしごきに耐えて、わしなんかよりずっと強くなって行ったんじゃ」

「お師匠は金比羅坊殿より強いんですか」

「強いぞ。一年間で、奴はわしを追い越して行った。そう言えば、お前らはまだ、太郎坊の本当の強さってものを知らんのじゃないのか」

「ええ」と風光坊は探真坊と顔を見合わせた。

「まあ、そのうち、見る機会もあるじゃろう」

「お師匠のお子さんは今、幾つなんですか」と探真坊が聞いた。

「三歳だったと思うがのう」

「そんな子供がいたなんて。全然、知らなかったな」と風光坊は言った。

「子供どころか、奥さんがいた事さえ知らなかったよ」と探真坊は言った。

「まあ、それはしょうがない。太郎坊は有名になり過ぎたんじゃよ。あのお山で、太郎坊を名乗れるのは年末だけじゃ。しかも、顔は隠さなけりゃならん」

「驚きましたよ。火山坊殿が実は太郎坊殿だったなんて‥‥‥」

「わしは、あいつには驚かされ通しじゃわい」

 かなり、きつい坂を登ると、ようやく、笠形寺に着いた。

 山の中の広い境内には、僧坊がずらりと建ち並んでいた。金比羅坊は真っすぐに飯道山の拠点になっている自在院に向かった。まだ、建てたばかりのような新しい本堂の前を通り抜け、蔵王堂の裏の方に自在院はあった。自在院は新しい本堂と比べたら、今にも倒れそうな掘立て小屋のような建物だった。

 その自在院にいたのは乗南坊という、いかにも、くたびれたという感じの先達だった。

 金比羅坊は乗南坊を知っていた。しかし、乗南坊の方はわからないようだった。

「親爺、まだ、ここにいたんか」と金比羅坊は自在院の中にいた乗南坊を見つけると、懐かしそうに声を掛けた。乗南坊の方はきょとんとして金比羅坊を見ていた。

「金比羅坊じゃが覚えとらんかのう。まあ、無理もないのう。もう、十年近くも前じゃからのう」

「十年前?」

「まあ、いい。わしらは飯道山から来たんじゃ」

「なに、飯道山‥‥‥」

 飯道山から来たと聞くと乗南坊の顔は急に気が抜けたようになった。そして、しばらくしてから、飯道山から来た、飯道山から来た、と繰り返しながら、だんだんと喜びの表情に変わって行った。

「飯道山から来なすったか、よく来てくれたのう、よく来てくれたのう、ずっと、待っておったんじゃ、ずっと」と金比羅坊の手を取りながら乗南坊は喜んでいた。目からは涙さえ溢れていた。

「三人も来たのか‥‥‥うむ、昔は三人おったからのう‥‥‥そうか、やっと、来てくれたんか‥‥‥まあ、疲れたじゃろう。今、お茶でも入れるからのう‥‥‥」

 三人には乗南坊が何でこんなにも喜んでいるのかわからなかったが、乗南坊がやたら一人で喋っているので、ただ、黙って聞いていた。

 乗南坊の話によると、彼がこの山に来て、もう十年にもなると言う。寛正五年(一四六四年)に、三年間の約束で、飯道山からこの山に来た。ところが、三年めの応仁元年に戦が始まり、代わりの者が来られなくなり、もう少しここに居てくれと言われるまま、十年が過ぎてしまった。やっと、今年になって、代わりの者をやるから、それまで、もう少し我慢してくれとの連絡が入り、代わりの者が来るのを、毎日、楽しみに待っていたと言う。

 十年は長かった‥‥‥と乗南坊はしみじみと語った。

 乗南坊がこの地に来た時、播磨の国は山名氏が支配していた。当然、この山も山名氏の支配下に入っていた。

 寛正五年、乗南坊はこの山に二人の山伏を連れてやって来た。三人で、この自在院を管理していた。その頃は、飯道山から、よく、山伏たちがこの山に来ていた。この山を拠点にして、播磨は勿論の事、摂津や但馬まで信者たちを集めに回っていた。また、彼らが信者たちを連れて来ていたので、この自在院も賑やかだった。

 それが、三年後、応仁の乱が始まり、約束の三年が過ぎても交替の者はやって来なかった。三人のうちの一人が頭に来て、飯道山に行って話を付けて来ると出て行ったが、そのまま戻っては来なかった。もう一人も話を付けて来ると出て行ったまま戻らず、結局、乗南坊、独りだけが残ってしまった。それから七年もの間、飯道山の山伏は一人も来ない。他の僧坊でも、他国から来ていた山伏たちは、ほとんど自国に帰ってしまったが、乗南坊だけは、たった独りで自在院を守っていた。

 そのうちに、この山にも戦の波が押し寄せて来た。赤松氏が播磨に進攻して来て、あっと言う間に山名氏を追い出し、播磨は再び、赤松氏の支配下となった。この山にも赤松方の僧兵や山伏たちが攻めて来て、山名氏と通じていた者たちを武力で追い払った。

 彼らは元々、この寺の僧や山伏たちだった。嘉吉の変の時、赤松氏の味方をしたため、この山に戻れなくなり、赤松一族と同じく、どこかに潜んで、赤松家の再興される日を待ち望んでいた者たちだった。その時、本堂を初め、多くの僧坊は焼け落ちた。

 乗南坊はその戦の時も逃げずに、この自在院を守り通した。よそ者だという事で追い出されずに済んだが、その後、乗南坊もこの寺の山伏たちと共に戦に出て、赤松家のために戦うはめになった。戦をしに、はるばると美作や備前までも出掛けて行った。

 最近になって、ようやく、戦も落ち着いて来て、前線まで行く事はなくなったが、それでも、情報を集めるために敵国の但馬には、よく行かされると言う。今回も但馬に行かされ、つい先程、帰って来たばかりだと言う。

「わしは、もうすぐ五十じゃ。もう、疲れたわ。早く、国に帰りたい」

 乗南坊は本当に疲れ切ってしまっているようだった。

「飯道山の方はどうじゃ」と乗南坊はほんの少し目の色を変えて聞いた。

「向こうも戦はやっておるが飯道山はまだ大丈夫じゃ、安心せい」と金比羅坊は答えた。

「そうか、大丈夫か。わしのうちは土山の近くなんじゃが、あの辺りも大丈夫かのう」

「土山? あの辺りはちょっとわからんのう。あの辺りで戦があった事はある」

「なに、戦があった?」

「ああ、京極勢と六角勢の戦があった」

「わしの女房と子供がおるんじゃよ。大丈夫じゃろうな、もう十年も会っとらんからのう‥‥‥伜は、もう二十三にもなっとるのう。娘も、もう十九じゃ。もう嫁に行っとるじゃろうか‥‥‥伜の奴、まさか、戦に出て戦死などしてはおらんじゃろうな‥‥‥わしは帰る‥‥‥今すぐ、帰る。急に心配になって来たわ」

 乗南坊はそう言うと、早速、荷物をまとめ始めた。

「乗南坊殿、帰るのはいいが、わしたちに、この山の事を詳しく教えてからにしてくれんかのう。わしら、来たばかりで何もわからんのじゃ」

「おう、そうじゃったの。一応、引き継ぎとやらをせにゃならんのう」

 乗南坊は一通り、笠形寺の事や笠形山の説明をしてくれた。

 笠形山の山頂は、ここより十四町(約一、五キロ)登った所にあり、薬師如来が祀ってあると言う。山中には天狗岩、天邪鬼(アマノジャク)の引き岩、鎮護岩(チンゴイワ)などがあり、滝の行場もいくつかある。金比羅坊が、合掌岩か合掌滝はないかと聞くと、そんなのは聞いた事もないと言った。

 乗南坊は話し終わると、後の事はよろしくお頼み申すと言って、さっさと山を下りてしまった。

「どうするんです」と探真坊が金比羅坊に聞いた。

「まあ、そのうちに本物が来るじゃろう。それまで、ここに腰を落着けて、じっくりと宝を捜そうや」

「来なかったら、どうするんです」

「その時はその時だ。何とかなるさ」と風光坊は気楽に言った。「どうせ、しばらくは、この国にいなけりゃならんだろう。ここを拠点にすればいいさ。ここからなら置塩の城下も近いしな」

「それにしても、ひでえ所だな」と探真坊が部屋の中を見回しながら言った。「宿坊というより、ただの掘立て小屋だな」

「贅沢、言うな」と金比羅坊が言った。「雨露がしのげるだけでもいいと思え。乗南坊殿が必死に守ってくれたんじゃ。焼けてしまった僧院もかなりあったと言ってたじゃろう」

「乗南坊という親爺、くそ真面目な奴じゃな」と風光坊も部屋の中を眺めながら言った。

「ああ、まったくじゃ。代わりが来るまで、こんな所にいる事もないのにのう」

「こんな所に、よく十年もいたもんだ」

「戦にも行ったと言ってたのう。ああ見えて、結構、強いのかも知れんぞ」

「まさか」と探真坊は笑った。「戦場で逃げ回っていたんだろう。どう見ても、まともに刀が使えるようには見えん」

「人を見かけだけで判断すると、後で、大怪我するぞ」と金比羅坊が言うと、「それは言える」と風光坊は神妙な顔をして頷いた。

 風光坊にしてみれば、八郎を見かけだけで判断して間違い、おまけに、師匠、太郎坊が化けていた火山坊までも、見かけで判断して間違っていた。確かに、見かけだけで判断するのはまずいと実感していた。

 空が急に暗くなり、雨がポツポツ落ちて来た。遠くで雷も鳴っていた。やがて、大粒の雨が滝のように勢いよく降って来た。

「乗南坊殿も運の悪い男じゃのう」と金比羅坊が雨を見ながら言った。

「山を下りられた事が嬉しくて、雨なんか、気にならないでしょう」と探真坊は言った。

「そうかもしれんのう」

 掘立て小屋のように、みすぼらしい自在院だったが、乗南坊が小まめに手入れしていたとみえて、雨漏りなど全然しなかった。

 三人は夕立を眺めながら、それぞれが、それぞれの思いの中に浸っていた。





 二日間、手分けして、笠形山の山中をくまなく捜してみたが、『合掌』に関する物は見つからなかった。

 『岩戸』と言えるかもしれない洞窟もいくつかあり、中に石の仏像が安置してある所もあったが、決め手となるような物は何もなかった。一体くらい合掌している石仏がありそうなものだが、合掌している仏像はありそうで、なかなか、なかった。

 笠形山の山頂から回りを見下ろせば、何かわかるかと思ったが何もわからなかった。

 山頂には薬師堂と狼煙(ノロシ)台があり、山頂から少し下がった所に小屋が建っていた。小屋の中には誰もいなかった。山頂からの眺めは良く、遠くの方の海まで見渡せたが、『合掌』や『岩戸』らしき物は見つからなかった。

 金比羅坊と風光坊、探真坊の三人は自在院の中で、笠形山の絵地図を前にして考え込んでいた。

 外は、もう暗くなっている。

 昨日までは、絶対に捜し出してやると張り切っていた三人だったが、二日間、山の中を隅から隅まで歩き回ってみても何も得る物はなかった。

 阿修羅坊の名前を出し、浦上美作守の名前も出し、赤松氏のために働いている事にして、この山の長老や先達から色々と話を聞いてもみたが、『合掌』の意味する物はわからなかった。観音堂の中に合掌している千手観音が一体あったが、その仏像の中に宝を隠したとは思えなかった。また、千手観音が合掌しているのは何本もある手のうちの二手だけである。これを『合掌』と呼ぶのは、ちょっと無理があるように思えた。

 三人は、どっと疲れが出て来たかのように、ぐったりとしていた。絵地図を眺めていても、これからどうしたらいいのか、いい考えもなかなか浮かんで来ない。

「不二と岩戸は良かったとしても、合掌がこの山の中にあるというのが間違ってたんじゃないのか」と探真坊が腕組みをしながら言った。「もし、この山に合掌に関する物があったとする。そうすると、合掌と不二は結び付くが、岩戸が一つ、はずれてしまう」

「それじゃあ、どこにあるんだよ」と風光坊は寝そべって屋根裏を眺めていた。

「わからん。わからんが、謎の言葉は四つあるんだろう。四つあるという事は、その四つの言葉が、ある一つの物を意味するか、それとも別々の物を意味して、その四つの物をどうにかすると宝のある場所がわかるとか‥‥‥」

「うむ、成程のう」と金比羅坊は唸った。「わしらは場所にこだわりすぎたのかも知れんのう。まず、宝を隠した性具入道になったとして、考えてみた方がいいかもしれんのう」

「ええ」と探真坊は頷いて話を続けた。「まず、宝を隠したとします。それを誰かに知らせるために四つの言葉に表すとしたら、普通、どうするでしょう。たとえば、この自在院に宝を隠したとします。金比羅坊殿なら、どんな四つの言葉を残します」

「ここに隠したとするわけか、そうじゃのう」と金比羅坊は考えた。「まず、不二。そして、薬師‥‥‥権現‥‥‥自在っていう所かのう」

「不二、薬師、権現、自在ですか。不二が笠形山、薬師が笠形寺、権現が、すぐそこの権現堂、自在は、ここですよね。金比羅坊殿の場合、四つの言葉は、すべて、場所を意味していて、その場所はだんだんと狭められていって、ここがわかるというものですよね」

「まあ、そうじゃな」と金比羅坊は頷いた。

「菩薩、天、鉤、牛、っていうのはどうだ」と風光坊が言った。

「なに、菩薩に天に鈎に牛‥‥‥何だそりゃ‥‥‥」

「わかったぞ」と金比羅坊が言った。「菩薩とは自在の事じゃ。天は自在天、鈎は自在鈎、牛は自在天の乗物じゃろう」

「その通り」と風光坊は頷いた。

「風光坊のは四つの言葉が、全部、自在を表す言葉ですよね」

「今度は、お前の番だ」と風光坊は腕枕をしながら探真坊を見た。

「ああ。それじゃあ、薬師、権現、稲荷、安住、この四つだ」

「何じゃと、薬師に権現に稲荷に安住‥‥‥」

「薬師はあの本堂だろ。権現は、そこの権現堂。稲荷もそこにあるし、安住坊も、すぐ裏にある。それが、どう、この自在院とつながるんだ」と風光坊が起き上がって聞いた。

「こういうわけだ」と探真坊は言うと、石ころを四つ拾い、絵地図の上に並べた。

「この石が本堂、これが権現堂、これが稲荷、そして、これが安住坊、この四つの石を結んで、交わった所に自在院がある」

「成程、そういう事か‥‥‥」

「しかし、俺の場合は、余り広い場所では使えない。たとえば、この石が笠形山で、この石が岩戸村、そして、たとえば、この石が雪彦山、この石が七種山だとしたら」

「そんなもん、わかるわけねえだろ」と風光坊は石ころを弾いた。

「そうだ、とてもじゃないが、その四つの場所を結ぶ事は不可能だ。俺の場合は、ある場所があらかじめわかっていた場合、その場所の中のどこにあるのかを知らせる時にしか使えない。風光坊のもそうだ。風光坊の場合も、ある限られた場所がわからなければ使えない」

「という事は、やはり、金比羅坊殿のやり方かな」と風光坊は言った。

「いや、それはわからんよ。赤松一族だけにわかる、どこか、特別の場所があったのかもしれん。その場所に、四つの言葉に関する物があるのかもしれん」

「そうなると、ますます、難しくなるのう」

「金比羅坊殿のやり方で行くと、まず、不二で、笠形山だとわかる。そして、岩戸で、その裾野の岩戸だとわかる。ここまではいいと思います。その後が続かない」

「あと一つがわかればなあ」と風光坊は、また寝そべった。

「明日、もう一度、岩戸村に行ってみるか」と金比羅坊が言った。

「それしか、ないみたいですね」

「金比羅坊殿、ついでに、明日、下の町に行って酒でも飲みませんか」と風光坊は期待を込めて金比羅坊を見た。

「おう、そうじゃのう。こう働き詰めじゃ、いい考えも浮かばんしな。ここらで、気分転換もいいかも知れんのう」

「そう、来なくっちゃな。そうと決まれば今日は疲れた、寝るとするか」

「疲れたのう」

 三人が横になって、寝ようとした時だった。外で誰かが騒いでいた。

「うるせえなあ、なに騒いでるんだ」と風光坊が舌を鳴らした。

「どこにも、馬鹿はいるもんじゃな」と金比羅坊が笑った。

「そういや、八郎の馬鹿は今頃、何をしてるかな」と探真坊は言った。

「お師匠と一緒に城下で、いい思いをしてるんじゃないのか」

「まさか」

「おい、あの声、八郎じゃないのか」と金比羅坊が言った。

「まさか。暗くなってから、こんな所に来ないだろう」と探真坊は言った。

「いや、あの声は八郎の馬鹿だ」と風光坊は起き上がり、外に飛び出して行った。

 耳を澄ましてよく聞くと、金比羅坊殿、風光坊、探真坊と大きな声で叫んでいた。金比羅坊も探真坊も外に出てみた。

 外は月も星もなく、真っ暗と言っていい程だった。風光坊は八郎を見つけたらしく、二人の話し声が聞こえて来た。太郎も一緒にいるようだった。

 太郎と八郎を加えた五人は播磨の国の絵地図を囲み、また、考え込んでいた。

 太郎と八郎が、こんな夜になって、わざわざ、この山の上まで来たのは、それなりの重要な収穫があったからだった。

 今朝早く、阿修羅坊を倒した二人は、しばらくの間は安全だろうと、今日一日はのんびりしようと思っていた。船着き場の近くにある湯屋(ユヤ)に行って垢をこすり、頭も洗い、さっぱりとして、賑やかな旅芸人たちの集まる河原の一画を見て回っていた。

 そこへ到着したのが金勝座の一行だった。太郎は助五郎を河原者の頭、片目の銀左衛門の所に連れて行き、話をまとめると、みんなと一緒になって舞台作りの甚助を手伝い、金勝座の舞台を作ったりしていた。八郎も一座の女たちと一緒に浮き浮きしながら手伝っていた。

 やがて、舞台もできあがり、一息ついている時、助五郎が袋に入った二振りの刀を持って来た。松恵尼から楓に渡してくれと頼まれた物だと言う。何だろうと思って、太郎は袋から刀を出してみた。

 立派な太刀とそれと不釣合いな脇差が入っていた。それを見た途端、ぴんと来た。太刀の方は赤松家の跡継ぎが持つのにふさわしい、かなりの名刀のようだった。しかし、この際、どうでもよかった。問題は太刀と不釣合いな、どこにでもありそうな脇差の方だった。それは京の浦上屋敷で見た、あの三振りの脇差と同じ物だった。

「北畠殿が持っていた赤松彦次郎の物ですね」と太郎は助五郎に聞いてみた。

「御存じでしたか。何でも、嘉吉の変の時、伊勢の地で自害なされたお人だそうです。楓殿のお父上の従兄弟にあたるお人だとか‥‥‥」

「そう言われればそうですね」

 太郎はさっそく、脇差の目貫(メヌキ)を抜いて柄(ツカ)をはずしてみた。思った通り、茎(ナカゴ)には紙が巻いてあった。太郎はゆっくりと、その紙を広げてみた。

 『瑠璃』、そして、性具入道の花押が書いてあった。

 『瑠璃』、その言葉はまったく意外な言葉だった。瑠璃と言えば、まず、浮かぶのは阿修羅坊の本拠地、瑠璃寺だった。瑠璃寺と言えば播磨の国の西部に位置している。笠形山とは、まるで正反対にあった。

 これで『不二』『岩戸』『合掌』そして、『瑠璃』と四つの謎の言葉は揃ったわけだが、この四つの言葉の意味する物は、益々、わからなくなって行った。

 太郎は性具入道の書いた紙切れを懐にしまい、刀を元に戻すと、太刀と共に、しばらく預かって下さいと助五郎に渡した。助五郎がその紙は何かと聞くのに対し、後で詳しく教えるとだけ言い、八郎を連れて真っすぐに笠形山に向かったのだった。

 門前町に入った辺りから、すっかり暗くなってしまったが、太郎は構わず、山へと入って行った。かつて、智羅天のもとで修行していた頃、智羅天のように真っ暗闇でも目が見えるようになりたいと訓練したため、暗闇でも、ある程度、見えるようになっていた。

 太郎はさっさと歩いて行くが、付いて行く八郎はたまったものではなかった。真っ暗で何も見えない。太郎の杖につかまりながらも、石につまづいたり、転んだりしながら、やっとの思いで付いて行った。どう、目をこらして見ても八郎には何も見えなかった。自分の前を平気で歩いている師匠が化物のように感じられた。どう考えても、人間とは思えなかった。

 八郎は、ようやく笠形寺までたどり着くと、暗闇の中を叫び回っていた。そして、さも自分が自力で暗闇の中をここまで来たかのように風光坊に自慢していた。この時は興奮していて何も感じなかったが、次の日の朝になって、傷だらけ、血だらけになっている自分の足を見て、唖然とする八郎だった。

 薄暗い自在院の中で、『瑠璃』と書いてある紙切れと播磨の国の絵地図を見つめながら、五人は考え込んでいた。

「瑠璃が、出て来るとはのう」と金比羅坊が伸びてきた顎髭をこすりながら唸った。

「金比羅坊殿、瑠璃寺に行った事はありますか」と探真坊が聞いた。

「いや、ない」

「これで、また、初めから、やり直しだな」と風光坊は言った。

「この山には瑠璃に関する物はなかったのですか」と太郎は金比羅坊に聞いた。

「ないのう。やはり、瑠璃と言えば瑠璃寺じゃろうのう」

「もしかしたら、瑠璃寺の方にも、不二や岩戸、そして、合掌に関する物があるのかもしれませんねえ」と探真坊は言った。

「きっと、そうだわ」と八郎も言った。

「だといいがな」と風光坊は言った。

「この地図で見ると、どうやら、瑠璃寺の方が笠形山より、性具入道が自害したという城山城(キノヤマジョウ)に近いような気がするのう」と金比羅坊が言った。

「この地図では実際の距離はわからんけど、どうも、そのような気はしますねえ」太郎も地図を見ながら言った。

「それに、瑠璃寺は古くから赤松氏とのつながりがあるらしいからのう」

「行くしかないな」と風光坊は言った。

「そういう事じゃのう」

「明日の飲み会は延期だな」と探真坊は言った。

「何や」と八郎は聞いた。

「何でもねえよ」と風光坊は八郎の肩をたたいた。

「実はな、太郎坊、働き詰めだったんでな、明日あたり、気晴らしに下の町に行って、酒でも飲もうって言ってたんじゃよ」と金比羅坊が苦笑しながら言った。

「何や、そんな事か、おらたちも、ほんとなら今頃、酒を飲んでたわ。阿修羅坊の奴もやっつけたしな、のんびりするはずだったんや。この紙切れが出て来なかったらな」

「なに、阿修羅坊を倒したのか」と金比羅坊が太郎に聞いた。

「手下どもは全員倒し、阿修羅坊も手を怪我して、当分の間は刀も持てんでしょう」

「そうか、そいつはでかした」

「それで、今晩は、女子でも抱きながら酒でも飲もうって言ってたんや」

「もう少し待ってくれ」と太郎は皆に言った。「これが一段落したら、遊女でも上げて思い切り騒ごう」

「それは、本当ですか」と風光坊は目を輝かせた。

「ああ。置塩城下で一番大きな遊女屋で大騒ぎだ」

「そいつは、楽しみじゃ」と金比羅坊も笑った。

「早く、お宝を見つけて城下に帰ろうや」と八郎は浮かれて踊った。

「お前は気楽でいいな」と探真坊は笑った。

 次の日、五人は瑠璃寺へと向かった。





 朝早く、山を下りて行った太郎たち一行と入れ違いに、笠形山に向かっている阿修羅坊の姿があった。

 笠をかぶり、骨折した右腕を首から吊し、苦虫をかみ殺したような不機嫌な顔をしている。相変わらず高下駄をはき、錫杖を突きながら歩いているが音はなかった。

 太郎にやられた右腕は当分の間、使いものにならなかった。

 相手を甘く見過ぎていた。まさか、あれ程の腕を持っているとは思いもよらなかった。阿修羅坊が今まで会った事のある連中の中でも、一番強いと言ってよかった。飯道山の高林坊が、わしより強いと言った時は、まったく信用しなかったが、まさしく、あの高林坊より強いかもしれない。しかし、倒さなくてはならなかった。幸いに、赤松政則はまだ帰って来ない。多分、あと半月は戻って来ないだろう。それまでの間に、太郎坊を倒さなくてはならなかった。

 すでに、日輪坊と月輪坊、そして、瑠璃寺から呼び寄せた十人もの手下が太郎坊に殺された。城下に入って来る時点で八人もやられている。それぞれ、ばらばらにいたはずなのに、ほとんど同時に八人もやられたという事は、太郎坊は八人で来たという事か。

 しかし、その八人は城下に入った途端、姿を消してしまった。そして、昨日の朝、河原で戦った時は太郎坊は二人だけだった。たった二人だけで、わしら五人を相手にして勝った。初めから二人だけだったのだろうか。

 確か、太郎坊は『志能便の術』とかを使うと言う。その志能便の術で、八人を次々に倒して行ったのだろうか。

 恐るべき相手だった。

阿修羅坊は昨日、使いの者を瑠璃寺に走らせ、新たに三十人の山伏を呼んだ。そして、今、美作の国で戦をしている宝輪坊と永輪坊の二人も呼ぶ事にした。瑠璃寺の山伏で、あの太郎坊と、少なくとも互角にやり合えそうな者は、その二人だけだった。

 今朝になって、まず、四人が瑠璃寺から到着すると、別所屋敷の見張りと太郎坊の隠れ家を突き止める事を命じ、阿修羅坊は今まで放っておいた宝捜しをやろうと笠形山に向かった。まずは岩戸村を調べようと岩戸神社に行き、あれこれ調べていると神宮寺の社僧に声を掛けられた。

「お宝は見つかりましたかな」とその社僧は笑った。

「お宝?」と阿修羅坊は怪訝な顔をして社僧を見た。

「おや、違いましたか、これは失礼いたしました」と社僧は頭を下げて去ろうとした。

「ちょっと、待て。誰か、宝などを捜しておるのか」と阿修羅坊は聞いた。

「はい。瑠璃寺の阿修羅坊殿とかいうお方が、法道仙人が埋めたという黄金の阿弥陀仏様を捜しておられましたわ」

「何じゃと」

「まったく、最近はおかしな御仁が多いですな。法道仙人が埋めたお宝を本気になって捜しておるんじゃからのう」

 社僧は思わず笑ったが、阿修羅坊の怒ったような顔を見ると急に視線をそらせた。

「その阿修羅坊とやらは一体、どんな奴なんじゃ」と阿修羅坊は怒鳴るような口調で聞いた。

「はい。大男じゃったのう。若いのを二人連れておったがのう」

「年は幾つ位じゃ」

「そうさのう、三十の半ばってとこかのう」

「うーむ」と阿修羅坊は遠くの山を眺めた。「二人の若い奴の名前はわからんか」

「さあな、そこまではのう」

「それで、そいつらは、ここで何を調べてたんじゃ」

「何でも、合掌に関する物はないかとか聞いておったがの」

「合掌? 確かに合掌と言ったんじゃな」

「はい」

「それで、そいつらはどうした」

「しばらく、この辺りを調べていたんじゃが、わからんと言って、お山の方に行ったようじゃのう」

「それは、いつの事じゃ」

「二、三日前じゃ」

「はっきり、わからんか」

「一昨日、いや、その前の日じゃな」

「三日前か‥‥‥」

「やはり、そなたも、そのお宝を捜してるとみえるのう」と社僧は言った。

 阿修羅坊は返事をしなかった。

 社僧は、「まあ、頑張って下され」と言うと神社の方に向かった。

 これは、一体、どうした事だ、と阿修羅坊は立ち尽くした。

 宝の事を知っているのは、浦上美作守と自分だけだと思っていた。しかし、誰かが自分よりも先に捜していた。しかも、そいつは自分の名を語っている。これは、一体、どういう事なんだ。

 浦上美作守が自分の他に、誰かに頼んだというのか。

 ありえない事はないが、自分に一言くらいは断るはずだ。それに、阿修羅坊を名乗っているというのがおかしかった。

 太郎坊か、と一瞬、思った。置塩城下に来るのが、やけに遅かったし、城下に入る前に、ここに来たとも言える。しかし、太郎坊が宝の事を知っているはずはなかった。

 太郎坊ではないが、誰かが宝を捜しているのは事実だった。

 阿修羅坊は首を傾げながら笠形山に向かった。

 笠形寺に着くと瑠璃寺の宿坊である観法院に向かった。観法院にいた善光坊は阿修羅坊を見ると、「おっ、いよいよ、親方のお出ましか」と笑った。

「どういう意味だ」と聞くと、阿修羅坊の手下と名乗る三人の山伏が山の中を歩き回って、黄金の阿弥陀像を捜していると言う。

「おい、本当に黄金の阿弥陀像なんてあるのか」と善光坊は真顔で聞いた。

「そんな物、知るか。それより、その三人というのは何ていう奴らだ」

「おぬしの手下じゃろう。名前も知らんのか」

「わしの手下じゃない」

「何だって? それじゃあ、奴らは何者だ」

「わからん。下の岩戸村では、わしの名を語りやがった。奴らは、まだ、ここにおるのか」

「さあな、昨日はウロウロしてるのを見かけたが、今日は見んのう。また、山の中に入ってるんじゃないのか」

「奴らは、ここにいたのか」

「いや、自在院にいるとか言ってたぞ」

「自在院? どこの宿坊じゃ」

「近江の飯道山じゃ」

「なに、飯道山? 奴ら、飯道山の山伏か」

「知らん。誰もおらんから、そこにおるんじゃろう」

「飯道山の山伏は誰もおらんのか」

「一人、おったんじゃがのう。いつの間にか山を下りたらしい。今は空き家になってるそうじゃ」

「それで、その三人の名は何と言うんじゃ」

「宮毘羅(クビラ)坊、伐折羅(バサラ)坊、迷企羅(メキラ)坊の三人じゃ」

「何だと、ふざけていやがる」

「おぬしの下には、十二神将(ジンショウ)の名を付けた十二人の手下がおるらしいのう」

「そんな者いるか。一体、そのふざけた奴らは何者じゃ」

 二人は自在院に向かったが誰もいなかった。荷物らしき物も何もない。すでに、どこかに行った後らしかった。

 ここを立ったという事は宝を見つけたという事か。

 それにしても、一体、何者じゃろう。

 阿修羅坊は善光坊と一緒に、三人を見た者はいないか調べてみた。

 寺中を聞いて回った結果、わかった事は、その三人は今朝早く、山を下りて行ったという事、二人の職人風の男を連れていたという事、そして、黄金の阿弥陀像はこの山にはなさそうだと言っていた事、それ位だった。今度はどこを捜す、と聞いたところ、瑠璃寺に帰って阿修羅坊と相談すると言ったという。

「くそ! このわしを虚仮(コケ)にしていやがる」

「一体、何者かのう、奴らは」

「知るか」

「ただ、おぬしの事を知ってる事は確かじゃな」

 阿修羅坊の頭にふと、正明坊(ショウミョウボウ)の顔が浮かんで来た。奴か、と思った。

 正明坊は阿修羅坊と同じく、浦上美作守の下で働いている瑠璃寺の山伏だった。最近、会ってはいないが、奴なら浦上美作守に宝捜しを頼まれる可能性はあった。わしと一緒に宝を捜してくれと頼まれたとしても、奴の事だ、わしを差し置いて、一人で捜しているのかもしれない。善光坊に、その三人がどんな連中だったか詳しく聞くと、まさしく、そのうちの一人、岩戸神社の社僧が言っていた大男というのは正明坊に違いなかった。正明坊だとすると、奴はこの山で何かをつかみ、どこかへ行ったという事か‥‥‥一緒に連れていた職人というのは、一体、何の職人だろうか‥‥‥

 正明坊がどこに行ったのか気になったが、そう簡単に、奴に捜せるわけないと思い、阿修羅坊は明日一日、この山の中を調べてみようと思った。

 置塩城下に呼んだ瑠璃寺の山伏たちも、すぐには集まらないだろうし、美作の国にいる宝輪坊と永輪坊も、すぐには来られないだろう。太郎坊が楓を別所屋敷から連れ出す恐れもあったが、今の阿修羅坊にはどうする事もできない。また、楓にしても、ここまで来たからには弟に一目会ってからでないと、置塩城下から出る事はないだろうと思った。

 阿修羅坊はさっそく、この山の事を調べるために、善光坊を連れて本坊へと向かった。
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