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陰流の開祖であり、忍びの術の開祖でもある愛洲移香斎の物語です。
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7.旅立ち






 京で始まった戦は、ここ愛洲の城下にも影響して来た。とは言っても、戦が始まったわけではない。しかし、いつ、どこから何者かが攻めて来るかもわからないので、戦闘の準備に追われていた。

 今回の戦は東軍、西軍に分かれて戦っているが、誰が東軍で、誰が西軍なのか、はっきりとわからなかった。一族の中でも東と西に分かれて戦っている。自分がどちらに付くかという、はっきりした根拠を持っている者は少ない。当面の敵が東に付くなら、こちらは西だというようなもので、利害によって寝返りも頻繁に行なわれた。

 愛洲一族は今の所、東でも西でもないが、有力な者から、こちら側に付いてくれと言われたら、自分たちの立場を守るために付かざるえない。また、何者かが攻めて来たら、それを倒すために、敵と反対側に付かざるえない。

 水軍も陸軍も各砦に見張りを置き、武士はもとより漁師、農民に至るまで、いざ、事が起こったら、すぐに戦えるように準備におこたりはなかった。

 熊野詣でや伊勢参りの参拝客の数も徐々に減って行き、物価はどんどん上昇して行った。

 応仁二年(一四六八年)の夏の初め、十七歳に成長した太郎は長円寺の石段に腰を下ろし、海に浮かぶ軍船を見ていた。

 今日の海は荒れていた。

 荒れている波の上を何艘もの『小早』が走り回っている。

 空も雲ですっかりおおわれ、時おり、雲の隙間から日差しが海に差し込んでいた。

 今日は父の所に行く日だった。今頃、父上は待っている事だろうと思った。

 城下にある祖父、白峰の屋敷から田曽浦にある父の田曽城まで水路で二里、陸路だと三里程ある。初めの頃は小舟で通っていたが、特に急ぐ用のない限り、太郎は山の中を歩いて行く事にしていた。勿論、山の中に道などないが、道のない所を歩き、自分だけの道を作るのが好きだった。熊野の山歩き以来、太郎は益々、山というものに引かれて行った。

 本当なら、今頃、あの辺りだろうな‥‥‥と太郎は田曽浦へと続く山並みを見ていた。

「仕方ないさ‥‥‥」と呟いて、沖の方に目をやった。

 やっぱり、ここでも戦が始まるのかな‥‥‥

 いや、まだまだ、当分は大丈夫だろう‥‥‥

 太郎は立ち上がり、城下の方を眺めた。人影は見当たらなかった。

「来ないかもしれないな」とまた、呟いた。

 愛洲源三郎定成と、ここで待ち合わせをしていた。源三郎とは、かつての大助である。彼と二人で、ひそかに京都に行く約束をしていた。

 昨日、会った時、源三郎は、「今は時期が悪い」と顔をそむけながら言った。「皆が戦の準備をしている。こんな時に家を飛び出す事なんてできない」

「こんな時だから、京を見ておかなければならないんだ」と太郎は強い口調で言った。

「京は物騒だ」と源三郎は弱音を吐いた。

「怖いのか」と聞くと、「怖くはない。怖くはないが‥‥‥」と源三郎は口ごもった。

「俺は行くぞ。一人でも行く。明日、待ってる」

 そう言って、昨日は別れた。

「来ないかもしれない‥‥‥」もう一度、太郎は呟いた。

 海からの潮風が強くなって来た。

 ふと、太郎は後ろに人の気配を感じて振り返った。

 曇天が石段の上から、ニヤニヤしながら太郎を見ていた。

「今時、暇な奴もいるもんだな」と曇天は太郎をからかうように言った。

「うるさい!」と太郎は怒鳴った。

 太郎はこの生意気な小坊主が何となく気にいらなかった。

「へっ、情けねえ面をしてやがる」

 曇天は石段を降りて来て、太郎の横に腰を下ろした。

「おい、和尚はいるのか」と太郎は聞いた。

「留守だ」と言って、曇天は目を細めて海を眺めた。「ちょっと出掛けて来ると五日前、フラッと出掛けたまま、まだ戻って来ねえ」

「どこ、行ったんだ」

「知らん」

「それでも弟子か」

「俺にも、あの和尚の事はよくわからん。とぼけてるが本当は偉え坊さんかもしれねえ。京で戦が始まったんで、陣中にでも呼ばれたのかもしれん」

「お前は留守番か」

「留守番?」と曇天は鼻で笑った。「こんな寺の留守番したってしょうがねえ。俺も京に出ようと思ってる」

「お前、京へ行くのか」と太郎は曇天の顔を見た。

「こんな田舎にいたってしょうがねえ」と曇天は真面目な顔付きで言った。「和尚が言ってたが、これからは強え者が、どんどん、のし上がって行く時代になるんだそうだ。戦も今までとは違ってきたと言ってた。今までは武士同士の戦だったが、今は百姓たちも武器を持って、武士を相手に戦ってるそうだ」

「それは本当なのか」と太郎は目を輝かせて聞いた。

「俺もよく知らんが、和尚がそう言ってた。京や奈良では百姓たちが今まで支配してた武士を相手に戦をしてるそうだ。そして、今、京でやってる戦は、かなり長引くだろうとも言っていた」

「それじゃあ、ここも、そのうち戦になるのか」

「かもしれん‥‥‥俺は今の京がどうなってるのか見てみてえ。和尚がいつも言ってるように、何でも自分の目で確かめなくちゃいかん」

「そうだ」と太郎も同意した。

「お前は武士だからいい。それに行く行くは水軍の大将だ。俺はこんな山寺で一生を終わりたくはねえ。どうせなら、もっとでかい事がしてえ。今の世の中なら、俺にも何かできるような気がする」

「よし、京へ行こう」と太郎は言った。

「何?」と曇天は太郎の顔を覗き込んだ。

「京に行くんだ」と太郎は力強く言った。

「本気か」

「ああ、本気だ」

「よし」と曇天は太郎を見つめながら頷いた。

「こいつは面白くなって来たぞ」と曇天はニヤリと笑った。「よし、今すぐ、出発だ。ちょっと、待ってろ」

 曇天は石段を駈け登ると寺の中に入って行った。

 源三郎が来ないので一人で行こうか、それとも、次の機会にした方がいいか、迷っていた太郎だったが、うまい具合に道連れができたので喜んでいた。今まで、まともに話をした事もなかったけど、話してみると曇天もそれほど生意気でもないようだった。

 曇天は腰に竹の水筒をぶら下げ、鉄鍋を背中に負い、やけに長い太刀をかつぎ、麻袋を引っ提げて出て来た。

「お釈迦様に留守番を頼んできた。こいつを頼む」曇天は太郎に麻袋を渡した。

「何だ、これは」

「飯だ。食わなきゃ生きていけん」

「そりゃ、そうだ」と太郎は麻袋を背負った。

「おい、お前、本当に京に行くんだな」曇天は念を押した。

「行く」と太郎は拳を握った。

「よし」と笑うと曇天は太刀をかついだまま、しおらしく寺に向かって合掌をした。「さて、行こうぜ」

「おい、坊主が刀なんか持ってていいのか」と太郎は聞いた。

「これか。これは人を斬るんじゃねえ。煩悩(ボンノウ)を断ち切るもんだ」曇天はまた、生意気な事を言った。「ハハハ、俺もまだ、死にたくねえんだ」

「使えるのか」

「試してみるか」

「試す時は、すぐ来るさ」

「その時は頼むぜ、大将」

 京を目指して、二人の旅は始まった。





 五ケ所浦の城下が見えた。

 数人の騎馬武者が城の中に入って行くのが見えた。

 五ケ所湾の海は光っていた。

 入り組んだ入江の中、何艘もの小早が走り回っている。

 五ケ所湾の入り口、田曽岬の辺りに関船が二艘、見えた。父上が乗っている船かも知れないと太郎は思った。

「もう、ここには戻れねえかもしれねえな」と曇天が感慨深げに言った。

 太郎と曇天の二人は馬山の頂上にある砦のすぐ下あたりから、城下を見下ろして立っていた。

「そんな事はない。戻れるさ」と太郎は言ったが、これから先の事を考えると心細くなって来ていた。

 ここからは祖父の屋敷は見えなかった。祖父にも祖母にも何も言わずに出て来てしまった。今の所は父上の所に行っていると思っているだろうが、行っていない事がわかれば、心配するに違いない。

 太郎は北東の山に目をやった。小春にも当分の間、会えなくなる。昨日、しばらくの別れを告げた時、彼女は太郎の目をじっと見つめ、「待っている」と言って笑った。そして、お守りと言って、刀の栗形の所に綺麗な細い紐を結んでくれた。その時、小春の目に涙が光っていた。

 太郎はしばらく小春の紐を見ていたが、曇天の方に目を移すと、曇天もぼうっとした顔で城下の方を見ていた。彼にも色々と思い出があるのだろうと思った。

「行くぞ」と太郎はうながした。

「おお」と曇天は頷いた。

 馬山の砦の回りを迂回して北側を降りると切原に出る。切原にも愛洲一族の城があった。二人の顔を知っている者がいないとも限らない。そのまま、山中を東に抜ける事にした。半時(一時間)ばかり山中を歩き、白滝と呼ばれる滝に出た。

 太郎もこの滝までは何度か来た事があるので知っている。ここまで来れば、もう大丈夫だろうと二人は伊勢に向かう街道に出た。

「京まで、どの位あるのかな」と太郎は独り言のように言った。

「五十里(約二百キロメートル)位だろう」と曇天が答えた。

「五十里か」と太郎は曇天の顔を見た。曇天が京までの距離を知っているとは思ってもいなかった。

「一日、十里歩いたとして、五日は掛かるな」

「お前、行った事あるのか」

「ある」と曇天は頷いた。

「ほんとか」太郎には信じられなかった。

「ガキの頃、京の都でフラフラしていて、松坂の和尚に捕まったんだ」

「京の都で何してたんだ」

「何もしてねえ。ただブラブラしてたんだ」

「お前、京で生まれたのか」

「違う。若狭の国(福井県西部)だ」

「若狭の国? どこにあるんだ」

「京よりずっと向こうだ。向う側にも海があって、俺は向うの海の近くで生まれたんだ」

「へえ。京より向こうにも海があるのか‥‥‥お前の親父は漁師なのか」

「違う。親父は立派な武士だった」

「何だと? お前の親父が武士?」

「そうだ。でも、俺が十歳の時、親父は死んじまった。俺は親父の家来に連れられて家から逃げた。どうして逃げなければならねえのか、俺にはさっぱりわからなかった。夜になって、城下で戦が始まったという事がわかった。俺は山の中の小さな寺に預けられた。親父の家来は迎えに来るから待ってろと言って、出て行ったまま戻って来なかった。戦は二、三日して終わった。俺は寺から抜け出して家に戻った。しかし、家はなかった。俺の家だけじゃなく、その辺り一帯、焼け野原になっていた。俺はどうしたらいいのかわからず、そのまま国を出たんだ‥‥‥行く当てなんか、どこにもなかった。ただ、親父から京の都の話を聞いた事があったんで、京に行けば何とかなるだろうと京に向かった。どうやって、京にたどり着いたのかわからねえが、何とか、たどり着けた。俺は京の都で、物貰いやかっぱらいをして何とか生きていたのさ」

「へえ、そんな事があったのか‥‥‥苦労してるんだな」

「お前とは違うさ」

「母上はどうなったんだ」

「母親は親父より先に死んだよ」

「そうだったのか‥‥‥お前も武士だったとはな」

「お前とは違う。武士といっても漁師に毛が生えたようなもんさ」

「快晴和尚とは京で会ったのか」

「いや。松坂だ」

「松坂って?」

「山田から六里程先だ。俺は京で松坂の和尚に捕まって、和尚の寺に連れて行かれて、無理やり坊主にされたんだ。まあ、飯だけは食えたから、俺も我慢して、そこにいる事にした。その寺に快晴和尚が来たんだ。初めて見た時は汚え坊主だと思った。本当に乞食みてえな格好をしてたよ。その寺の和尚と昔からの知り合いらしくて、よく遊びに来ていた。毎日、ブラブラしていて、知らないうちに、またどこかに行ってしまう。どこが気にいったんかなあ‥‥‥よく、わからんけど俺は和尚の後をついて、ここに来たんだ」

「ふうん‥‥‥」

「お前はどうして、家を出て来たんだ」と曇天が聞いた。

「別に出て来たわけじゃない。ただ、京の都を見てみたいからさ」

「海賊のお前が、陸を見たってしょうがねえだろ」

「関係あるさ‥‥‥」

「ちょっと、待て」と曇天が太郎を制した。「馬が近づいて来る」

「感づかれたかな」と太郎も耳を澄ませた。

 二人は茂みの中に身を隠した。

 鎧武者を乗せた馬が一頭、城下から剣峠に向かって走って行った。太郎の知らない男だった。しかし、そろそろ、太郎がいなくなった事に気づく頃だった。

 この先の剣峠に関所を兼ねた砦がある。多分、そこで、太郎を捕まえようと待ち構えているに違いない。

「まずいな」と太郎は言った。

「どうする」

「こんな所で、捕まったら二度と京には行けなくなる」

「山に入るか」

 太郎は頷いた。

 二人は、また山の中に入って行った。

 太郎は小刀を振り回し、邪魔な小枝やつるを切りながら道を作って進んだ。

「おい、大丈夫か」と太郎の後をついて来る曇天が心配そうに聞いた。

 山の中に入ると回りが見えないので、方向もわからず、風景にあまり変化がないので、同じ所をぐるぐる回っているような錯覚を覚える。

「大丈夫だ」と太郎は自信を持って言った。

 普段から山の中を歩き回っていた太郎には、方向に関してはある種の感が働き、自信があった。

「こんな事なら、一人で来れば良かった」と曇天は愚痴をこぼした。「俺一人だったら、何も山の中に隠れなくても、堂々と街道を歩ける」

「さあ、それはどうかな。京へ行くまでには、いくつも関所があると聞いている。そんな所をいちいち通って行ったら、いくら銭があっても足りはしない。結局は山の中を歩くしかないのさ」

 曇天はブツブツ文句を言いながらも、太郎の後をついて来た。

 ようやく、尾根に出ると視界が開け、剣峠の砦が下の方に見えた。

「大したもんだな」と曇天は砦を見ながら言った。「お前は海賊より、山賊の方が似合ってるぜ」

 峠の砦では見張り櫓(ヤグラ)の上に一人の武士が、そして、道に二人、槍を持った武士が城下の方を睨んでいた。

「ここを抜ければ、もう、大丈夫だな」と曇天は聞いた。

「わからん。宇治にも、いるかもしれん」

「まあいい。早く行こうぜ。俺は腹が減ってきた」

「そういえば、腹、減ったな」

 尾根づたいに歩き、五十鈴川のほとりに出ると街道に戻り、伊勢神宮のある宇治に向かって歩き始めた。

 夕暮れ近くにどうにか、宇治にたどり着く事ができた。

 宇治の町は相変わらず、お伊勢参りの参拝客で賑わっていた。

 太郎は母や祖母に連れられて、二度ばかり来た事があった。いつも利用する馴染みの宿屋はあったが、当然、そこは避け、一般の参拝客に混じって安い宿に泊まった。

「今日は疲れたな」曇天は宿に上がると、足を伸ばしながら言った。

「これからだぜ」と太郎は言ったが、太郎も事実、疲れていた。

 二人は腹に飯を詰め込むと、死んだ者のように、ぐっすりと眠りに落ちていった。





 次の日、宇治から山田に出て、小畑、明星、櫛田と通って松坂に着いた。

 途中、関所がいくつかあったが、うまく回避して何事もなかった。道も昨日とは違って平坦なので、太郎も曇天も物見遊山でもしているような気で、のんびりと旅をしていた。

 松坂では曇天が前にいた寺に泊めてもらった。

 曇天が、そこの和尚に快晴和尚の事を聞いてみると、四日程前に、ひょっこり訪ねて来たと教えてくれた。

 今、多気(タゲ)の御所に、次の将軍様になられるお方が来ている。ちょっと、そいつの面でも拝んで来るかと、また、すぐに出掛けたと言う。

「あいつの事じゃ、どこにいるやら、わしにもわからんわい。本当に多気の御所にでも行って、そのお方と会ったのかもしれんのう」と松坂の和尚は笑った。

「次の将軍様に会うなんて、あの和尚、そんなに偉い人なんですか」と曇天は聞いた。

「さあな、わしゃ、知らんよ。だが、あいつなら、やりそうじゃ」と和尚はまた笑った。

 そう言われてみると、太郎も曇天も、あの和尚ならやりかねないと思った。

 この辺りは南北朝時代以来の名門、伊勢の国司、北畠氏が支配している。

 北畠氏はまだ、京の戦には参加していない。しかし、去年の秋、足利義視が北畠権中納言教具を頼って伊勢に逃げて来た。それをかくまったので、一応、東軍という事になっている。けれども、北畠氏は義視のために兵を動かそうとはしなかった。義視のためには動かなかったが、抜けめなく義視の存在をうまく利用して、領国内の不満分子を二、三片付けて支配力を強めていた。

 北畠氏の本拠地は多気にある。四方を山に囲まれた要害の地で、伊勢と吉野を結ぶ伊勢本街道が通っている。国司の居館は『多気御所』と呼ばれ、回りには侍屋敷や民家などが建ち並び、賑やかな市が立ち、『伊勢の国の都』として繁栄している。その都を見下ろす山の上に、代々、北畠氏が本拠とした霧山城があった。

 快晴和尚は、その多気にいるかもしれないと言う。しかし、太郎と曇天は、その伊勢本街道を通って南都、奈良に抜ける道を避けた。足利義視が伊勢に来て以来、関所の警戒が厳しくなり、特に国境は出入りが難しくなっていると言う。

 二人は北上して伊賀街道を行く事にした。

 六軒、木造、久居、五百野、長野と通り、平木まで来た。そこから伊賀越えの峠になる。まだ、日は高いが、このまま進めば山の中で暗くなってしまう。

 里の者の話だと、よく山賊が出ると言う。二人は無理をせずに、ここで一夜を明かす事にした。道に沿って長野川が流れている。今夜の寝床はそこだった。

 次の朝早く、二人は街道に座り込んでいた。

 太郎が出掛けようとした所を曇天が止めた。山賊が出るかもしれないから、二人だけで行くのはまずいと曇天は言った。

「せっかく、ここまで来て、戻るのか」と太郎が聞くと、「そうじゃねえ。誰か、きっと、旅人が来るはずだ。強そうな侍が来たら、そいつと一緒に行った方がいい」と曇天は言う。

 太郎も、もし山賊に襲われたら勝つ自信はなかった。一応、曇天の意見に賛成して、道端に座り込み、誰かが通るのを待った。

 近所の農民が鍬をかついで通るだけで、旅人はなかなか通らなかった。

「もしも、誰も来なかったらどうするんだ」と太郎はイライラしながら聞いた。

「絶対、誰か来るさ。気楽に待とうぜ。別に急ぐ旅じゃない」

「勝手にしろ!」太郎は道端に寝そべった。

 空にはポッカリと雲が浮かんでいた。雀が鳴きながら飛び回っている。

 五ケ所浦を出てから、今日で四日目だった。

 みんなが心配しているだろうな、と思った。しかし、ここまで来たからには絶対に京の都を自分の目で見なければ帰れなかった。

 母親は悲しんでいるだろうか。

 次郎丸、お澪、そして、三郎丸は元気でいるだろうか。

 父上は怒っているだろうか。

 祖父は‥‥‥

 祖母は‥‥‥

 そして、小春は‥‥‥

「おい、来たぞ」と曇天が太郎の肩をたたいた。「侍だ!」

 編み笠をかぶった侍が一人、急ぎ足で、こちらの方に向かって来る。一見した所、それ程、強そうには見えない。

「よし、あの侍と一緒に行こう」と曇天は一人で頷いた。

「大丈夫か」と太郎は不安気に聞いた。

「二人より三人の方がましだろう。それに、一人で山を越えようとしてるんだから、少しは使えるんだろう。俺に任せておけ」

 曇天は太刀を太郎に預けると侍に近づいて行き、頭を低くして声を掛けた。

 侍は編み笠を少し上げて、ちらっと太郎の方を見ると頷いた。曇天は侍に頭を下げると太郎の方に戻って来た。

「うまくいったぞ、行こう」

 二人は侍の後をついて伊賀越えに向かった。

 侍は一言も口をきかなかった。

 心配していた山賊も現れず、無事に峠を越え伊賀の国に入った。

 侍の足は速かった。太郎と曇天は後を追うのがやっとだった。

 ようやく、山の中から出て、村が見えて来た。

「おい、どうする」と曇天が小声で太郎に聞いた。「もう、あいつと別れるか。俺は疲れた。もう、休みてえよ」

「別れるにしたって、一応、挨拶した方がいいだろう」と太郎も小声で答えた。

「そうだな」

「お前に任せる」

「俺たちは別に急ぐ旅じゃねえんだ。のんびり行こうぜ」と曇天は先を歩く侍を追いかけた。

 曇天が侍の横に並び、声を掛けようとすると、「おい、お前ら、どこまで行くんだ」と侍は初めて口をきいた。

「え、はい、京の都です」と曇天は答えた。

「京に何しに行く?」

「京の町を見にです」

「京は今、戦じゃ。見る物など何もない。どこも焼け野原じゃ」

「お侍さんは、どこまで行かれるんですか」

「わしも京じゃ」

「はあ、そうですか‥‥‥あのう、俺たち、別に急いでるわけじゃないんで、この辺で別れたいんですけど‥‥‥」

「わしも別に急いじゃおらん‥‥‥疲れたのか」

「はい、少々」

「それじゃあ、一休みするか」

 三人は木陰を見つけて休憩をした。

 今日も暑かった。

 侍はそれ程でもないが、太郎と曇天は汗びっしょりだった。

 この侍は、七年前の寛正の大飢饉の時、山伏の風眼坊舜香と酒を酌み交わした、あの伊勢新九郎だった。今は足利義視の申次(モウシツギ)衆をやっている。義視の使いで京に向かう途中だった。

 新九郎は義視が兄の将軍義政に無理やり還俗させられて以来、ずっと、義視の近くに仕えていた。

 ―――もう、四年になる。

 去年、義視が京を逃げ出すのを助けて、伊勢にやって来た。

 伊勢の国司、北畠教具の保護のもと、義視は丹生、松坂、須賀、木造と一ケ所に落ち着かないでウロウロしている。昨日は榊原の温泉でのんびりしていたが、突然、今朝になって、「余は早く、京に戻りたい」と言い出し、新九郎に書状を持たせ、至急、京に行けと命じた。

 新九郎は、もうアホらしくなって来ていた。どう見ても義視は将軍の器ではない。ただでさえ乱れている世に、あんな男が将軍になったら取り返しがつかなくなる。また、今の情勢からして、あの男は将軍になれそうもない。あんな男にいつまでもくっついていてもしょうがない。

 そろそろ、やめるか‥‥‥

 新九郎は伊賀越えの間、ずっと考えていた。

「ほう、おぬし、愛洲の小伜か」

 太郎が名前を名乗ると新九郎は太郎の顔を眺めながら、そう言った。

「臨済の小坊主と海賊の小伜か。面白い取り合わせじゃな」

 新九郎は急ぎ足をやめていた。

 三人は平松、下阿波、広瀬、平田、西明寺と通り、伊賀上野を抜けた。そして、島ヶ原の少し先まで来た時、日が暮れて来た。

「伊勢殿、京まで、あと、どの位ですか」

 食事を終え、焚火を囲みながら曇天が新九郎に聞いた。

「ここまで来れば、あと二日で京に着く。しかし、京に入るのは難しいぞ。足軽共がウロウロしているからな」

「足軽?」と曇天は聞いた。

「ああ、お前らのような者だ。京に出て来て、一旗、挙げようという連中共が集まって、好き勝手な事をやっておる。一応、東軍だの西軍だのと言ってはおるが、やってる事は盗賊と同じじゃ」

「俺たちは違う」と太郎は否定した。

「違うか‥‥‥じゃあ、何しに行く」

「世間を見るためです」

「見てどうする」

「わかりません‥‥‥見てから決めます」

「まあ、いいだろう。好きにするがいい。とにかく、足軽共に会ったら命はないものと思っておけ。やつらには卑怯という事は通じんからな。相手が強いと思えば平気で逃げるし、弱いと見れば大勢で寄ってかかる」

「伊勢殿はどうやって、京に入るんですか」と曇天が心配そうに聞いた。

「わしか、わしなら何とかなる」

「お願いです。俺たちも一緒に連れて行って下さい」と曇天は頼んだ。

「京まではな‥‥‥後は知らんぞ」

 太郎は、この新九郎という侍は何者なのだろうか、と焚火の向こう側にいる新九郎を見ては考えていた。伊勢という名字からして偉そうだが、目の前にいる新九郎はそうは見えない。年の頃は三十の中頃だろうか。太郎も幕府の側近の伊勢伊勢守というのが力を持っているという事は知っていた。この男もその伊勢氏の一族なのだろうか。

 それにしても、そんな侍が供もつけずに、たった一人でこんな所を歩いているのは変な感じがした。

「おい、こりゃ、まずいぞ」と新九郎は言った。「雨が来る」

 太郎と曇天は空を見上げた。

 確かに、雲行きがおかしかった。

 三人は焚火を消し、雨宿りができる所を探した。





 朝になっても雨はやまなかった。

 新九郎、太郎、曇天の三人は破れ寺で雨宿りをしていた。今にも倒れそうな荒れ果てた小さな山寺だった。

 太郎は縁側の柱にもたれ、外の雨を見ている。

 新九郎は横になって穴のあいた天井を眺めている。

 曇天は目をつぶって座りこんでいる。座禅でもやっているつもりなのだろうが、こっくり、こっくりと舟を漕いでいる。

 あちこちで雨漏りがしていた。

「おい、曇天」と新九郎が天井を見ながら言った。

「はっ」と曇天はビクッとして目をあけた。

「お前の師匠は誰だ」

「はい、快晴和尚です」

「快晴和尚‥‥‥聞いた事ないな」

「昼寝ばかりしている偉い和尚さんです」

「偉い和尚か‥‥‥成程、お前も昼寝が好きなようじゃな」

「昼寝してたんじゃありません。考え事をしてたんです」

「ほう、何を考えていた」

「京の戦です。どうして、戦なんかしてるんだろうと」

「それで、わかったのか」新九郎は横になったまま、天井から曇天の方に視線を移して肘枕をした。

「わかりません。もう一年以上になるんでしょう。どうして、そんなに長いこと戦をやらなければならないんです」

「そんな事は誰にもわからんよ。戦をやりたくてやっている奴なんか、ほんの一部しかおらんだろう。あとの者はただ振り回されているだけだ。一度、始まった戦が終わるというのは勝負のけりがつくか、誰か力のある者が仲裁してやめさせるかだ。ところが、今度の戦は大きすぎる。それも一ケ所でやってるわけじゃない。あちこちで同時にやっている。京で西軍が有利になったとしても、地方では東軍が有利になっているという具合だ。勝負のけりなどつくわけない。しかも、本来なら大名たちの争いをうまく裁くのが幕府の仕事だ。それなのに幕府が二つに分かれて争っておるんだから話にならん」

 ぼんやりと雨を見ていた太郎も、新九郎の話に聴き入っていた。

「公方(クボウ)様は何をしてるんです」と曇天は聞いた。

「毎日、酒と女に囲まれて遊びほうけておる。目の前で戦をやっていようとおかまいなしじゃ。花の御所に攻めて来る奴は今の所、誰もおらんからな。今の将軍の先々代の義教公は播磨の守護、赤松氏に殺された。大名たちを公平に裁かなかったためだ。それ以来、将軍は意気地無しになった。地方の大名の争い事に口をはさんで殺されるより、政治などに一切、手を出さず、風流に遊んでいた方がいいというわけだ。今の将軍、義政公は将軍とは名ばかりで何の力も持っていない」

「この戦は長引くんですか」と今度は太郎が聞いた。

「長引くだろうな‥‥‥時代の流れというものかもしれん。時代の流れという大きな力に、みんなが振り回されているようだ。この戦が終わった時、何かが変わるような気がする」

「時代が変わる?」と曇天は言った。

「ああ、今までは武士の時代だった。民、百姓は武士の言う事を聞いて、おとなしく暮らしていた。しかし、最近はそうではない。一揆というものが、やたらと起きる。民、百姓、それに地侍が力を持って来ている。守護や地頭などと言ってふんぞり返っていられなくなって来ている。武士共の気づかない所で時代は徐々に変わって来ているんだ‥‥‥」

 太郎は新九郎の話を聞きながら、やはり、五ケ所浦から出て来て良かったと思った。新九郎が言っている事は太郎が考えてもみない事だった。五ケ所浦にいたら将軍様の事など雲の上の話で、あれこれと言ったり考えたりするべき事ではなかった。太郎にはまだ政治の事などよくわからないが、父や祖父の話などを聞いていると、あんな小さな五ケ所浦の事だけでも大変なのに、新九郎は平気な顔をして幕府や中央の政治の事を話している。世間は広いものだと、改めて太郎は感じていた。

「時代は変わる‥‥‥」曇天は目を輝かせて呟いた。

 今まで何不自由なく暮らして来た太郎にとって、「時代は変わる」と言われても、何がどう変わって行くのか、まったく見当もつかなかった。

「そろそろ、雨も上がりそうだな」と新九郎が言った。「出掛けるか」





 山城の国に入り、木津川に沿って西に向かって歩いていた。

 右も左も山に囲まれている。

 雨は上がったが薄暗かった。

 岡崎という村まで来ると、ようやく日が差して来た。かなり大きな村なのに、辺りは静まり返っている。田畑は踏み荒らされ、家々は焼かれていた。

「一揆だ」と新九郎は足を止めた。

「村人たちはみんな、殺されたのか」と曇天が焼け跡を眺めながら言った。

「山に隠れておるんじゃ。そのうち出て来る」

 あちこちに殺された農民たちが虫けらのように転がっていた。どの死体も泥まみれだった。

「お前、坊主だろ、念仏くらい唱えてやれ」と新九郎が曇天に言った。

 太郎も曇天も、この無残な光景に言葉も出なかった。

「酷いもんだな」と新九郎は言うと片手で仏を拝んだ。

「南無阿弥陀仏」と曇天は呟いた。

 太郎はじっと死人を見つめていた。

 まだ若い男だった。腹を真っ二つに割られ、はらわたが飛び出している。目を見開き、何かを叫んでいるかのように口をあけ、何かをつかもうとして、つかみきれなかったのか、右手を伸ばしたまま事切れていた。

「こんな事で驚いていたら、とても、京へなんか入れんぞ」と新九郎は言うと歩き出した。

 上狛で道は右と左に分かれる。右に行けば京、左に行けば木津川を渡って奈良へと行く。

三人は右に曲がった。その上狛の曲り角で、三人は異様な団体と行き会った。

 武装した侍が十人ばかり、列を作って奈良の方から歩いて来た。どの侍の顔も一癖も二癖もありそうな人相の悪いのが揃っている。それだけなら別に異様でもないが、その侍たちに囲まれて、馬に乗った坊主頭の太った男と、その後ろに二十人近くもの青ざめた顔をした若い娘たちが固まっていた。皆、継ぎはぎだらけの粗末な着物を着ている。中には、泣きながら歩いている娘も何人かいた。

 その団体が通り過ぎると曇天は新九郎に聞いた。「あれは、一体なんです」

「人買いだ」と新九郎は答えた。

「人買い?」

「ああ、今、京には地方から続々、兵が入って来ている。女子(オナゴ)がいくらいても足らんのだよ」

「すると、あの女たちは‥‥‥」

「兵たちの慰みものだ」

「あの女たちは売られたのですか」と太郎は不思議そうに聞いた。

「そういう事だな」

「親が自分の娘を?」

「だろうな」

「どうして」

「どうしてだと」と新九郎は太郎を見た。

 太郎は真剣な顔をして新九郎を見ていた。

「生きるためだ」と新九郎は言った。「いいか、よく覚えておけ。この世にはな、自分の娘を売らなければ、生きて行く事のできないような人間もいるんだ。さっき、殺されていた百姓を見ただろう。奴らだって好き好んで一揆なんか起こしたわけじゃない。すべて、生きるためだ。少しでも、今の世を良くしていこうとしてるんだ。今の世が一体、どうなっているのか、その目でしっかりと見ておくんだな」

 新九郎は太郎と曇天に笑いかけると、「行くぞ」と歩き出した。

 太郎と曇天の二人はしばらくは何も喋らず、新九郎の後を黙々と歩き続けた。





 次の日も夜中に雨が降っていたが、朝方にはやみ、いい天気になった。

 三人は京の都を目指して奈良街道を歩いていた。

「もうすぐ、京だな」と新九郎が言った時、どこかで悲鳴が聞こえた。

「何だ」と曇天がキョロキョロした。

「あそこだな」と太郎はこんもりとした森の方を見た。

「助けて!」

 今度は、はっきりと女の悲鳴が森の方から聞こえて来た。太郎と曇天は森の方に駈け出した。

 小さな祠の前で、四人の足軽がニヤニヤしながら一人の娘を囲んでいた。娘は恐怖のために声も出せず、口をあけたまま震えている。四人の足軽は泥の中を走り回っていたかのように体中に乾いた泥をこびりつかせていた。

「やめろ!」と曇天が叫んだ。

 四人の足軽は振り向いた。

「小僧、何か用か」槍をかついだ痩せこけた足軽がニヤニヤしながら言った。

「やめろ!」と今度は太郎が刀に手をかけながら言った。

「面白え、やる気か」髭だらけの足軽が太刀を抜いた。

「へっへっへっ」と壊れた兜をかぶった足軽が笑った。「ガキ共は、おめえにまかすぜ」

 三人の足軽は太郎たちを無視して、娘の方に近寄って行った。

 太郎は刀を抜くと間をおかず、素早く、髭男の右手首を斬り上げた。髭男は悲鳴をあげ、右手首がついたままの太刀を落とした。

「野郎!」と痩せこけた足軽の槍が太郎を突いてきた。

 太郎はその槍をよけると、敵の左手を斬った。

 曇天も長い太刀を振り回し戦っていた。

 太郎は残る一人に刀を向けた。

「覚えてろ!」と言うと、その足軽は逃げて行った。

 曇天の相手も、手を斬られた二人の足軽も、後を追うように逃げて行った。

「おい、忘れ物だぞ」と曇天が髭男の右手を放り投げた。

 娘の姿はすでに、どこにも見えなかった。

「大将、やっぱり、強えな」と曇天は太郎の肩をたたいた。

「相手が弱いんだ」と太郎は刀についた血をぬぐった。

 道に戻ると、新九郎は一人で先の方を歩いていた。

 二人が追い付くと新九郎は、「鬼退治は面白かったか」と言った。

「鬼は退治したけど、宝もどこかに行っちまいましたよ」と曇天が笑いながら答えた。

「そいつは残念だったな‥‥‥これから、あんな連中がうようよ出て来るぞ。桃太郎さんも大忙しだな」

「桃太郎だって」と曇天は太郎を見ながら笑った。

「馬鹿野郎!」と新九郎が怒鳴った。「あんな連中と一々、やり合っていたら命がいくつあっても足りねえぞ。気を付けろ」

 巨椋(オグラ)池を左に見ながら、宇治川を渡ると間もなく伏見だった。

 伏見の町を抜け、少し行くと、たんぼの中に足軽の死体が転がっていた。

「戦があったようだな」と新九郎は辺りを見回しながら言った。

 しばらく行くと辺り一面に死体が転がっていた。皆、泥まみれの死体だった。乾いた泥が体中にこびりついて、皆、泥人形のように表情のない顔に見えた。

「すげえ!」と曇天が転がっている死体を見渡しながら言った。

 数人の時宗の僧たちが念仏を唱えながら、穴を掘って死体を埋めている。

「お前も坊主だろう。手伝って来い」新九郎が曇天に言った。

「そんな‥‥‥禅宗ではあんな事はしません」

「何の役にも立たないようなら、禅なんてやめてしまえ」

「そんな‥‥‥」

「伊勢殿」と太郎が声を掛けた。「太刀や槍など、誰も武器を持っていないけど、どうなってるんです」

「金めの物はみんな剥がされるのさ」

「剥いで、どうするんです」

「売るのさ」

「え、死人から取った物を売る?」

「ああ、商人というのは銭のためなら、どんなあくどい事でもする。もっとも、こいつらの武器を剥いで行ったのは商人じゃない。ここらの百姓さ。剥いだ物を商人の所に持って行って、いくらかの銭を貰うというわけだ」

「ひでえな、死んだ者が可哀想だ」と曇天は両手を合わせた。

「死んでしまえば終わりさ。何をされたって文句、言えないからな‥‥‥それより、このまま、進むのはまずいな」

「足軽が出ますか」と太郎は前方を気にしながら聞いた。

「ああ、稲荷山の辺りにたむろしている‥‥‥山にでも入るか」

 新九郎は街道からはずれ、草むらの中に入って行った。

 太郎も曇天も新九郎の後を追った。
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